脊髄損傷で転職して給料が減少…逸失利益は? 愛媛県宇和島市 H・T様
【質問】
2年前に愛媛県宇和島市の県道で交通事故に巻き込まれて、脊髄損傷を負いました。
脊髄損傷の後遺症で腰から下に強い麻痺の症状が出ているため、ほぼ車いすで生活をしています。
交通事故に遭う前はスーパーの副店長をしていました。
しかし、脊髄損傷の後遺症で車いすになってしまい店舗での勤務が出来ず、退職を余儀なくされてしまいました。
その後デスクワークのみの会社に就職したのですが、以前の給料から比べてかなりの減額となってしまいました。
加害者の保険会社との示談交渉が始まったのですが、この場合給料の減額の補填はあるのでしょうか?
また、減額分ではなく給料の何%分という計算になるのであれば、計算するもととなる給料は現在の給料か前職の給料かどちらになるのでしょうか?
【回答】
愛媛県宇和島市のH・T様、ご質問ありがとうございます。
脊髄損傷などの後遺症で交通事故以前の様に働けなくなった場合、将来的な給料の損失である逸失利益の請求ができます。
逸失利益は単純に減額となった給料分を補填するのではなく、後遺障害等級に応じた労働能力喪失率を掛けたものになります。
後遺障害等級は1級が一番重く、14級が一番軽くなります。
1級では労働能力喪失率は100%、つまり給料の全額が逸失利益となりますが、14級では5%しか減額分が認められません。
愛媛県宇和島市のH・T様の場合、脊髄損傷で腰から下に強い麻痺が出ているため、後遺障害等級は第1級6号に相当すると思われますので、労働能力喪失率は100%になります。
また、逸失利益を計算する際は交通事故当時の給料を参考とします。
しかし、逸失利益の考え方として『実際に出た損失を補てんする』という意味合いがあるため、愛媛県宇和島市のH・T様は再就職で収入を得ているために、前職の給料の100%を受け取れるのではなく、前職と現職の差額、実質的な減額分に留まると思われます。
実際に受け取れる逸失利益は、減額された年収分に年齢のライプニッツ係数をかけたものになるため、単純に定年までの年数で計算した物よりも少なくなります。
「ならば、再就職しない方が良かったのではないか?」という疑問もあるかもしれませんが、裁判の判例で「交通事故の後遺症があっても収入が減らなかったのは、本人の努力と周囲の援助によるもので、それが加害者が逸失利益を支払わない理由とならない。」と、逸失利益の支払いを命じたものもあります。
こういったケースでは難しい判断となるため、弁護士に依頼されることをお勧めします。